炭焼窯について
竹炭工芸都美の窯はすべて「大竹式土窯」と呼ばれる、
この地域で木炭を生産する標準的な土窯です。
奥行きが十尺、幅が八尺あり、「十八(とはち)窯」とも呼ばれます。
1986年に最初の窯を築いて以来、7基の窯を築き、
改修を行いながら使用しております。
2007年3月より3基の窯の改修(ブログにて公開)を行い、
現在は5基の窯が稼動中です。
竹を伐る
竹炭工芸都美の竹炭の材料である孟宗竹は、車でおよそ1時間の範囲内で伐りに行かせていただいています。
都路は寒さが厳しく竹があまり太くならないため、主に浜通り(太平洋側の地域)や中通(都路は中通と浜通りの境のあぶくま山地の背骨のようなところです)でも、もう少し標高の低いところに伐りに行くことが多いです。
最近では、竹林の手入れができないため、竹を伐ってくれという要請はかなり多く、依頼をいただいても、すぐには伐りに行かせていただけないことも多い現状です。
お蔭様で炭材の確保には苦労しませんが、一日がかりで4トントラック満載の竹を伐ってくるのは人手を要す大仕事です。
(竹炭の作り方について詳しくは下記をご覧ください)
)
炭を焼くということ
一窯の炭を焼き上げるのに、窯入れから、窯出しまで1週間から10日ほどかかります。
なかでも着火させるとき、窯止めに至る仕上げの段階の精錬作業(ねらし)から窯止めは、時間を選んでくれません。
作業が夜中になることもしばしばです。
特に精錬作業は4〜5時間の間に約1時間毎の操作を要するので、ほとんど徹夜の作業になったりもします。
しかも、それは毎回同じ時間毎の作業というわけでなく、炭材の種類や、窯による違いなど、そのときどきによって状況が異なるので、その都度その都度温度管理しながら作業をすすめる必要があります。
そして、そのタイミングと温度管理こそが炭の品質を大きく左右するので気が抜けません。
できた炭は
炭を窯出しする際は、窯口を壊して出すことになります。焼き上がりはどんな状況か?どきどきの瞬間なのですが、初めてご覧になった方は、窯入れ時には窯口までびっしり詰まっていた竹がなくなって、窯の奥の方四分の一位にうんとかさの減った竹炭になってしまっているのを見て、きっとびっくりなさることでしょう。
炭になった場合の歩留まりはおよそ2〜3割、長さにして2〜3割り縮み、太さにして約半分になるようです。そして、収縮だけでなく、灰になってしまっている部分ももちろんだいぶあります。温度を上げるほど、割れも多くなり、灰になる部分も多くなるわけですが、竹炭の品質を考えると、いたしかたありません。
この中から工芸品に使える竹炭となるとさらに狭き門になります。めでたくゴールに辿り着いた炭たちはいとおしく、「よくがんばって立派な炭になったね」といってあげたいです。
いつかだれかの手へ旅立つことを祈りながら・・・・。
竹炭の作り方
1.炭材の調達
私共、竹炭工芸 都美 では、炭材である「竹」も自分たちの目で確かめてから伐採してきます。
良い竹炭をやくためには、なんといっても原料の「竹」がいいものでなくてはなりません。通常、
炭材とする竹は場所にもよりますが、3〜5年以上のものが適している(ただし、4〜5年生あたり
の竹は地下茎から竹の子が多く出るといわれており、できればそのあたりは外す)とされています。
ただ、わたしたちが原料とする竹は無償で頂くことを条件に、原料選びはせず、竹林整備を目的
のように切っております。(当然、持ち主の方は喜んでくれます。)
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チェーンソー
を使い竹を伐採
する。(ひとりは竹を持ち補助をする。) |
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枝を切り取ります。(枝から先の部分は、地主さんとの話合いで現場に置いてくる場合が多いようです。) |
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伐採された竹。(同じ方向に倒された竹は、後の作業をしやすくします。) |
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切り揃えた竹を運び出します。(トラックが現場より遠い場合は、ひとの手で運びます。とても大変な作業です。) |
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伐採された竹を約5mに切り揃える。(トラックに積むために長さを揃えます。) |
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4トンのトラックに竹を入れて運びます。 |
 
2.炭材作り
☆ 玉切り(たまぎり)作業
5m前後に切り出してきた竹は、窯場の前でさらに1mほど(正確には三尺)に切りそろえます。
この段階で、炭材としての適・不適の選別を行うのですが、それ以外でも太さによる振り分けも
行います。
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切り出してきた竹を窯場前に運ぶ。 |
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炭材作りの第1段階。5mに切り出した竹を三尺の長さに切りそろえる。
(使用している台ノコは自作品です。) |
☆ 丸物と板物
現在土窯での竹炭生産は、丸物(円筒状)のままやくものと板物(板状)に割ったものの、2種類が
あります。全体的には板物のほうが主流のようで、とくに現在のような竹炭の利用状況の中では板物
にしてやくほうが商品化しやすく、逆に丸物でやくのは割れ対策や出炭量の問題など、難しい面があ
るためかもしれません。
丸物は太さでさらに3段階ほどに振り分けています。同じ丸物であっても、利用方法と商品化の仕方
が異なるためです。それぞれ太さごとに適当な大きさに束ね、そのまま横にして積み重ねておきます。
できれば水分の多い夏場で2〜3ヶ月、冬場でも1ヶ月は風通しのよいところで陰干しをしたいところ
です。
板物は太さに応じて4つ割り、または5つ割りにしています。残った節をナタで落とし、こちらも適当な
太さに束ね乾燥させます。
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板 物 |
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三尺に切った竹は、太さごとに振り分けます。 |
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太い竹は、機械を使い4〜5つ割りにします。
(手作業では大変なため機械で行っています。) |
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太さごとにまとめて縛ります。
(立て込みの時に作業が進むようにするためです。) |
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割られた竹です。これから節をナタで落とす作業にまわります。 |
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太さごとに鉄のワクに入れて乾燥させます。 |
 
3.立て込み
☆ 炭材の立て込み
炭化は徐々に安定した状態で進むのがよく、急激な変化を起こすようなことがあると、あまり良い
炭にはなりません。
同じ炭材でも、回りの材料に保護された窯の「中心部」に近いほうが炭化状態はよく、逆にさまざま
な影響を受けやすい「外側」はあまり良い炭にはなりません。
なるべく無駄をなくすためにはこのあたりの状況も考慮しながら、立て込みを行う必要があります。
| 丸 物 |
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板 物 |
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壁の周りから立て込みます。 |
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ここから先(焚き口作り)は同じ作業です。
 
4.炭化作業
4−1 炭化前処理(「割れ」の少ない竹炭をやくために)
前焚き(乾燥焚き)
木炭をやくときにも行われている方法のひとつです。水分を抜くと同時に、発生する水蒸気を利用して窯内部の温度を徐々に上げ、急激な炭化(収縮)を抑え、割れ防止と堅炭を作ることに結びつけていきます。
立て込み終了後、煙突をほぼ塞いだ状態で3日から4日ぐらい前焚きを行います。私たちはこの乾燥焚きの目安を温度ではなく(本来は温度で管理するのがいいのでしょうが)焚く回数に置いています。つまり「立て込みを終えた日の夕方に1回、次の日の朝1回、夕方1回、さらに次の日3回から4回くらい、着火の日は朝から焚き続け着火までの間を、それぞれ口いっぱいにして焚く」という感じです。
燃料はもちろん竹ですが、夕方近く入れるものは、板をやくのに使用した枕の部分などの未炭化部分が大変有効です。一晩中ほかほかとして、ゆっくり温度を上げていってくれます。 |
燻煙熱処理法
近年竹炭の前処理方法として、画期的な方法が考案されました。それが小浜竹炭生産組合で実践普及されている燻煙熱処理法です。
前述の、前焚きを竹炭で行った場合、窯の天井部分に近いところが、全体から見て割れも少なくよくやけるということは、ある程度わかっておりました。これは、前焚きの熱(煙)効果によるもので、熱(煙)の通りやすい部分ではその効果がよく出ていたものの、それ以外の部分には出ていないことを示していたのです。
このあたりの状況を理論的にまとめ上げ、実践できるものにしたのがこの燻煙熱処理法です。これをやることによって、竹炭の前処理としてはほぼ完璧なものができるようになったといってよいでしょう。この処理を行えば立ててやいても割れが少なく、少々手間がかかることにはなりますが、炭化状態は大変よい状態で出てくるようになりました。
これまで良質の竹炭をやくのはかなりの経験を必要とされましたが、これから竹炭を始めようと考えてる方々にとってこの燻煙熱処理法は、大変心強い味方となってくれることでしょう。
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4−2 炭化作業
木炭の炭化は自発炭化といい、木材の熱分解を示します。その始まりが排煙温度にして80度くらいで、この状態になると燃材投入は必要なくなります。あとは炭になるのをじっくり待つだけです。
炭は昔からゆっくリズムといわれ、堅くて目方のある炭をやくにはできるだけ時間をかけ、ゆっくりやくのがコツだとの意味です。
炭化の始まりとともに煙突の煙の出を抑えるようにしたり、酸素取り入れ口を小さくして燃焼状態を抑えたりするのは、このゆっくリズムを作るためにあります。(炭化は熱分解であり燃焼ではない。
燃焼は熱分解に必要な熱を補うためであり、必要以上の燃焼は炭を減らすだけでなく、炭質も悪くします。)
最近、電気炉を使用して、なかなかの竹炭をやかれている方があります。企業秘密もあり、具体的には申し上げれないといいながら、そこでも重要視しているのが、やはり「時間」と「温度」だということでした。
炭となる前(炭素前駆体)のかたちがきちんと出来上がり、炭素分子がその構造をしっかり成すようになるまでには、時間と温度(圧力)が必要ということでしょうか。
ただし、燃焼の抑えすぎは、火を消してしまいかねないのでほどほどにします。目安としては煙突は半分くらいかもう少し多く塞ぎ、酸素取り入れ口は窯底の排煙口を基準に、それより大きくならない程度がよいかと思います。窯の出来具合でもかなり違いますので、何度かやきながら加減していくのがいいと思います。
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4−3 精錬(ねらし)
炭質はこの「精錬」で大きく異なります。堅くよく締まった炭にするためには、ここでできるだけ窯内温度を高くすることです。そのためには窯内部に発生しているガスを利用し、それを燃やすことによって温度を上げていくのです。
具体的には、排煙温度で300度前後を目安に、塞いだ煙突と酸素取り入れ口を徐々に開けていきます。ここでも大切なのは焦らず(窯の中が徐々に赤くなり、炭が減ってしまうので少し焦るのですが)、ゆっくリズムを心がけることとなります。時間にして4〜5時間、排煙温度として400度(丸物は、温度を上げすぎても割れが目立つように思います)から420度にしています。
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まさに窯止め寸前の窯内部の状態です

5.出炭作業
窯をとめて5〜7日冷やしたらいよいよ炭出し作業です。(ワクワクする瞬間です。)
焚き口を壊し、ひとが窯の中に入りひとつひとつ手で丁寧に竹炭を取り出します。この時にやきあ
がった竹炭の良し悪しを選別します。
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止まっている窯です。焚き口や下部の酸素取り入れ口が土で固められているところがわかります。 |
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炭化された状態です。(写真は、板物です。) |
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焚き口等を塞いでいる土をくずしレンガも取り払われる。
(土もレンガもまた使います。) |
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人が窯の中に入りひとつひとつ丁寧に取り出します。この時に各用途別に選別を行います。 |
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土窯の口が開いている写真です。
(奥に炭化された竹炭が見えます。) |
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窯の外では、別のひとが中から取り出された竹炭を袋に入れます。 |
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炭化された状態です。(写真は、丸物です。) |
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袋に取り出された竹炭です。これから作業場に移されて切断等の作業に入ります。 |
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